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『お客様から信頼されるって、こういうことなんですね。』
部下のひと言で、社内に自信と笑顔が確実に芽生えました。

第5章 企業の信頼感の回復


 1.消費者(顧客)は、企業やその経営者を信頼しているか
 2.企業やその経営者に対する不信感/信頼の回復
 3.広告・宣伝への不信感
 4.その他の企業への不信感/信頼の回復
 5.一般紙にこんな記事を発見
 6.営業方法に対する信頼感の回復


1.消費者(顧客)は、企業やその経営者を信頼しているか

最近の企業やその経営者を見ていると、果たして消費者(顧客)と呼ばれる人々から、十分に信頼されているのだろうかという、疑問を抱くことがある。特に、2007年に起きたアメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的な経済不況は、企業やその経営者に対し、むしろ不信感を持っているという疑問を払拭することができない。少なくても日本の高度成長期には、企業やその経営者に対して尊敬の念を持って見ていた人々が多かったし、ある種の信頼感を得ていた。そういう尊敬の念や信頼感はどこに飛散してしまったのであろうか。

 そして今、日本社会を俯瞰して述べれば、企業やその経営者に対する信頼を回復することが、日本経済の復活に不可欠なように思えるのである。企業に対する不信感の払拭と、信頼の回復が待たれているのである。

「不信感/信頼」という用語を使って述べるなら、以下のような部門に対する「不信感」というものが人々の間に浸透してしまっており、「信頼の回復」が期待されている。
  @商品自体に対する不信感/信頼の回復
  A商品価格に対する不信感/信頼の回復
  B営業方法に対する不信感/信頼の回復
  C広告宣伝に対する不信感/信頼の回復
  D人的管理に対する不信感/信頼の回復
  E財務戦略に対する不信感/信頼の回復

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2.企業やその経営者に対する不信感/信頼の回復

これらを簡略に説明することにしよう。

「@商品自体に対する不信感/信頼の回復」は、例えば、食品の偽装事件に端的に表れているように、食品という商品自体に対して、人々は不信感を持ちはじめているということである。これはモノとしての商品にも散見されることで、例えば最近では瞬間湯沸かし器の不良品被害の例などをあげることができる。日本市場は品質市場と言われ、商品自体の品質に対する信頼は厚いものがあったわけだが、その信頼が揺らぎ、人々は不信感を持ちはじめているのである。少なくても不良品をなくし、品質を維持することが、企業やその経営者に対する信頼の回復に、絶対的に不可欠なのである。

「A商品価格に対する不信感/信頼の回復」は、どういうことであろうか。例えば、百貨店という小売業態はバブル経済崩壊後、一貫して衰退の度を深めている。それに対して、例えばアパレルでは、ユニクロなどの安さを標榜する専門店が大きく躍進している。アパレルだけでなく、そうした一種のディスカウンターは多くの業種に広がりを見せている。

そうした状況を見るにつけ、人々は、それぞれの業態における値付けに疑問を抱いており、「商品価格に対する不信感」を持ってしまっているのである。その信頼の回復には、商品価値に見合ったリーゾナブルな価格というものが保証される必要がある。商品価値を改めて見直し、それに見合った価格を設定することが必要なのである。現在、日本経済はデフレ下にあると言われるが、その背後に、ここで述べたような「商品価格に対する不信感/信頼の回復」というものが存在していることを忘れてはならない。

「B営業方法に対する不信感/信頼の回復」については、ここで示している『営業パーソン読本』という文章全体のテーマとなっている。これまで述べたことをお読みいただき、企業やその経営者に対する一つの「不信感/信頼の回復」として、読者それぞれに考えてもらいたい。

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3.広告・宣伝への不信感

ここで、少し「営業」から離れることになるかもしれないが、「C広告・宣伝への不信感/信頼の回復」についても少しだけ説明しておこう。

第2章で、「営業活動」が「商品の価値を消費者(顧客)に正しく伝える活動」、「営業パーソン」が「商品の価値を消費者(顧客)に正しく伝える伝書バト」だと述べた。「正しく伝える」ということが大切なわけだが、消費者(顧客)に商品の価値を伝える分野は「営業」だけではなく、「広告・宣伝」もその一つとして、同じ性格を持ち合わせていると考えられる。

 ところが、「広告・宣伝」の機能は、最近、衰退しているのではないかと見られるのである。すなわち、2010年時点では、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞の三大紙を代表とする一般新聞が、経営的に苦境に立たされていると言われる。その一つの原因が、広告収入の減少にある。また、民放テレビ局も、売り上げというのは、主に広告収入なわけだが、その低迷に直面している。

 それに対して、高度情報社会ならではの現象として、インターネットの普及が広範囲に行われ、ホームページやブログ、あるいはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などが規模を拡大させている。そのインターネット産業のビジネス・モデルとして、広告収入が大きな比率を占めているのは、よく知られているところである。一般的には、一般新聞やテレビが凋落し、インターネットは伸長していると言われる。

ところが最近になって、インターネットの関連各社の広告収入の伸び率は下がっており、あらゆる日本の広告市場規模は縮小していると言われる。

 この現象をどのように見るか。確かにアメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的不況も原因の一つとして考えられるわけだが、それだけではなく、社会的に「広告・宣伝」分野に対する一種の不信感、「あまり期待できない」という意識が、消費者(顧客)の間に高まっているのではないかと考えられるのである。

 ここで「営業活動」が「商品の価値を消費者(顧客)に正しく伝える活動」であるということを思い起こしてほしい。そして、もう一つの企業活動である「広告・宣伝」において、「商品の価値を消費者(顧客)に正しく伝える」ことができているか、ということを考えてほしい。そのことについて、私は、はなはだ疑問を持っているのである。

 ある企業の宣伝部の人によると「テレビ広告はしないと売れ行きは鈍るのだが、実行してもそう大きな効果を上げない。守りの活動になっている」と語っている。そして、あらゆるメディアを介した広告・宣伝が、同じような壁にぶつかっているのである。

 一方で、「広告・宣伝というのは消費者(顧客)に商品説明をするのではなく、商品コンセプトや商品イメージを伝える活動である」という考え方がある。しかしそういう考え方からは、商品の価値を具体的に伝えることができないのである。そういう視点からも、「広告・宣伝」という企業活動が、現在、限界にぶつかっているのではないか、と思うのである。

 企業の「営業活動」と「広告・宣伝」というのは、商品の拡販のための相互に連携しなければいけない二つの活動である。しかし、「広告・宣伝」に今以上の期待ができないとすれば、一方の「営業活動」の重要度は増していると考えられるのである。

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4.その他の企業への不信感/信頼の回復

「D人的管理に対する不信感/信頼の回復」についても説明しておこう。最近の雇用情勢の逼迫は、失業率の高さによって示されており、2010年になってもその情勢は回復していない。一方で、雇用形態の多様化が進んでいる。契約社員、派遣社員、果ては請負形態による雇用などが合法的に行われる一方で、労働基準法違反の雇用や偽装請負なども一向になくならない傾向がある。国会においては、派遣法の改正などが進められているが、賃金の停滞などを考え合わせれば、「人的管理に対する不信感」は大きなものがある。企業(組織)の社会的役割は、従業員を雇用するところにある。それが十全に果たされていない現在、企業(組織)やその経営者に対する不信感へとつながっていると感じるのである。企業(組織)やその経営者が一日も早く、従業員雇用という役割を改めて認識し、信頼の回復が待たれているのである。

「E財務戦略に対する不信感/信頼の回復」については、この文章ではテーマからやや外れるので、簡単な説明で終えたい。

そもそも今回の100年に一度と言われる不況は、デリバティブなどの金融商品が多様化し、複雑な金融商品の取引に端を発しているのである。2010年の1月、アメリカのオバマ大統領は、金融秩序の回復を目的とした金融制度の改革案を提示したが、その背後に企業、特に金融企業の財務戦略に対する不信感があったことは否定できない。アメリカにおいては金融会社の経営者に多額の報酬が支払われていることが問題になるなど、人々の不信感は高まりを見せている。金融商品についての規制を強化するなど、制度改革も含めて、そのような不信感の払拭と、信頼感の回復が求められているのである。

このように見てくると、企業やその経営者に対する信頼感が揺らいでいることが分かる。日本においては戦後の高度経済成長下においては考えられないような状況が生まれている。こうした状況を踏まえながら、この『営業パーソン読本』においては、「営業方法についての不信感/信頼の回復」というものに焦点を合わせ、論じていることをご理解いただきたい。

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5.一般紙にこんな記事を発見

【2010年12月7日朝日新聞夕刊】
 見出し
『訪問販売お断り シールは「無効」』
『特商法改正 消費者庁が判断、自治体は困惑』

前文
 玄関の「訪問販売お断り」シールは意味がない? 訪問販売業者の規制を強化した改正特定商取引法が12月1日に施行されたが、こうしたシールに対し、消費者庁は「誰に何を断っているのかあいまいで、業者の訪問を拒む意思表示にならない」と判断している。悪質な勧誘の防止策として市民に配布してきた自治体側は「誰を守るための消費者庁なのか」と疑問の声を上げている。(上田学)

『特定商取引法』
 訪問販売や通信販売など、消費者がトラブルを起こしやすい取引を対象に、業者が守るべきルールやクーリングオフなどの消費者保護のルールを定めた法律。

 12月1日施行の改正法では、訪問販売でいったん断った消費者への再勧誘の禁止▽規制対象を原則すべての商品とサービスに拡大▽日常生活で必要な分量より多くの商品を買わされた際の契約の取り消し権などが盛り込まれた。

本文
 今回の改正法は、訪問販売で消費者が拒絶の意思を示せば、業者は勧誘を続けたり、再度の訪問をしたりしてはならない、と定めた。勧誘を繰り返すなど悪質性が高いと、業者は最高1年の業務停止命令を受ける。

 だが、法律適用の考え方をまとめた運用指針では、「訪問販売お断り」とのみ記載したシールは、「意思表示の対象や内容が不明瞭であるため、契約を締結しない旨の意思の表示には該当しない」と明記。業者名を書くか、直接会ったりインターホン越しに断ったりしないと拒絶に当たらない、と説明する。運用指針は、消費者庁が発足する前月の8月、それまで同法を所管していた経済産業省が出していた。

 同庁取引・物価対策課の丸山進課長は「シールを張るだけで拒絶の意思表示ととらえると、営業の自由にも触れかねない。訪問販売そのものが死滅しかねない」と理由を説明する。業界団体の日本訪問販売協会の大森俊一・総務部長も「悪質業者が対象になるはずで、一律的に禁止というのは乱暴すぎる」と話す。

 こうした消費者庁の判断を自治体側は疑問視する。

 2004年から市民にシールを配っている盛岡市消費生活センターの吉田直美主査は「訪問販売は業者と直接相対してしまうからトラブルが起きる。消費者庁の解釈は営業の自由を重視し、消費者目線とはいえないのではないか」。同市は「意思表示があいまい」と指摘する運用指針に対抗。来年度は「すべての訪問販売を常時お断りします」という全面拒否のシールの準備を進めている。

 滋賀県は、「訪問販売お断り」の表示を無視して勧誘するのは、06年施行の県消費生活条例に反する不当な取引行為に当たると、これまで市町村に説明してきた。だが、運用指針の通知を受け、11月30日に各市町村の担当者に「(表示が)拒絶の意思に当たらなくなった」というメールを送った。県民生活課の山形英幸副主幹は「現場の意見も聞かずに突然、解釈が示された。はしごを外されたような感じだ」と話す。

 奈良県生駒市は悪質な訪問販売の苦情が絶えず、昨年4月に市消費者保護条例を施行し、シールを全4万3千世帯に配布した。無視して業者が訪問すると条例違反となり、悪質なケースは業者名や代表社名を公表すると、踏み込んだ対策をしたばかりだった。

「お断り」シールは、東京都、大阪府、横浜市、仙台市などの大都市でも配布している。特商法に詳しい明治学院大学の圓山茂夫准教授は、「シールを張った消費者宅が拒絶の意思を示しているのは明らか。消費者を守るための法改正なのに、自治体の対策が後退しかねない解釈を示す国の指針は疑問だ」と話している。

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6.営業方法に対する信頼感の回復

 営業パーソンの職業倫理をテーマにしたこの『営業パーソン読本』の記述が、堂々巡りになってきたので、そろそろ終わりにしたい。最後に、読者の皆さんは、前節の一般紙の記事を読んでどんな感想を持っただろうか。

ここに示されているのは、現在の多くの日本人が、営業パーソンの自宅訪問に嫌気が差していて、自分も「お断り」シールを玄関に貼りたいと思っているという事実である。そして、営業パーソンの、「詐欺的」で「犯罪的」な営業手法を思い起こしたのではないだろうか。

 企業の営業活動や営業パーソンの職業倫理を考えている私は、この最近の記事を読んで、「情けない」という感慨を持った。すなわち、「企業の営業活動や営業パーソンはこんなにも不信の目で見られているのか」という感慨であった。消費者庁の「お断り」シールについての判断が、揺れたことに「情けなさ」を持ったのではない。そうではなく、「お断り」シールを貼るという手段に訴えたくなるほど、営業パーソンが不信の目で見られているという事実が、「情けない」のである。

 そう思う私は、同時に「営業パーソンの職業倫理」を真剣に掘り下げる必要性を感じた。そして、正しい職業倫理を身につけた営業パーソンの育成というものが、現代の日本社会で求められていることを知った。その人材育成の必要性を感じたのである。今ほど、職業倫理に基づいた営業パーソンの育成が必要な時代はないのではないだろうか。読者の皆さんは、この『営業パーソン読本』を、そのようにお読みいただきたい、と思うのである。

                                               (了)

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第4章 営業パーソンの育成
『営業は専門職だ。』
営業だけはやりたくないなんて、昔の話だ。

 

 

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